Nさんが亡くなった。
もう18年ほど前になるでしょうか。
彼女は私が以前働いていた古本屋からのお客さんでした。
少女漫画が大好きで、飛鳥幸子さんや
水木杏子の魅力を教えていただきました。
特に彼女の言葉、
「キャンディキャンディは水木杏子の原作が素晴らしいから名作になったんですよ」
この言葉が忘れられず、その後「キャンディキャンディ」を
見る度に私は彼女のことを思い出すようになりました。
13年程前、一度北海道の古本屋さんが神戸にいらっしゃるということで、
共通のお客でしたので、一緒に会食したことがありました。
その時神戸元町の中華街で楽しく古本の話をしながら
食事をしたのを、昨日のことのようにの思い出されます。
そのNさんの体調が急変したのはここ半年前ほどでしょうか。
ほぼ毎日更新されるブログで体の不調を訴えてました。
ただならぬ雰囲気に聞いてみると、
現代の医療では治すことが困難な病気でした。
その時、たまたま整理して出てきた「キャンディキャンディ」のコミックスの束の写真を
送って見せました。これで少しは元気でるかもしれない。
すると、「全巻セットを売って欲しい」。
「でも7巻が無いんですよ」「それでは揃ってからでいいですから」
しかし彼女は医者から余命宣告され、一刻も猶予も無い状態。
どうしようか。片っぱしから当たってみると、知り合いの古本屋さんが持ってました。
それで揃えて送ると、「無事キャンディキャンディ届きました。
9巻に丘の上の王子様とキャンディのポスターまでついていたので大感謝です。
黒背で一番難しいキャンディキャンディをありがとうございました。
ほんとうに嬉しく感謝しております」
彼女から満面の笑みのような喜びのメールが届きました。
あれほど頻繁に更新されていた彼女のブログが途絶えたのは、
それから4日後でした。
もう電話してもつながりません。
誰も身寄りもいない彼女はどうなったんだろう。
あのあとキャンディキャンディ読めたのかな。
ただただ遠方から冥福を祈るしかない。
今後もキャンディキャンディを見る度に、Nさんのことを思い出しそうです。
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