遺品整理は、故人を偲び、未来へ歩み出すための大切な儀式です。故人の死をなかなか受け止められず、遺品整理に時間がかかってしまうようなケースは少なくありません。
遺品を整理するには、大量の荷物を運搬したり、分別したりする必要があります。また、故人の住居が遠方にある場合、移動時間も負担になるでしょう。そのため、遺品整理の費用をできる限り安くしたいと思う人は少なくありません。
当記事では、遺品整理の費用を安くする方法や、安くて優良な遺品整理業者を見つけるコツを解説します。
1.遺品整理の費用を安くする方法5つ
遺品整理の費用は、一般的に部屋のサイズや片付ける量によって大きく変動します。以下は、遺品整理にかかる費用の相場を示した表です。
間取り | 作業人数 | 作業時間 | 料金相場 |
---|---|---|---|
1R・1K | 1~2名 | 1~3時間 | 3万~8万円 |
1DK | 2~3名 | 2~4時間 | 5万~12万円 |
1LDK | 2~4名 | 2~6時間 | 7万~20万円 |
2DK | 2~5名 | 2~6時間 | 9万~25万円 |
2LDK | 3~6名 | 3~8時間 | 12万~30万円 |
3DK | 3~7名 | 4~10時間 | 15万~40万円 |
3LDK | 4~8名 | 5~12時間 | 17万~50万円 |
4LDK以上 | 4~10名 | 6~15時間 | 22万~60万円 |
以下では、遺品整理の費用を少しでも抑えるために、意識したいポイントを5つ解説します。
1-1.可能な限り自分たちで片付ける
遺品整理業者は、遺品の量や必要な作業量に応じて費用を算出します。そのため、自分たちでできるだけ片付けることで、業者に依頼する作業量を減らし、費用を抑えられます。遺品整理では、以下のような作業は身内で行いやすいでしょう。
- 簡単な掃除
- 分別
- 梱包
- 粗大ゴミの処分
- リサイクルショップへの持ち込み
また、遺品整理業者の中には人件費や作業費を抑えるために、身内による事前の片付けを前提とした料金プランを提供している業者もあります。
1-2.リサイクルショップや買取業者を利用する
遺品整理業者に依頼すると、遺品の処分費用が発生します。リサイクルショップや買取業者を利用すれば、以下のような価値のある遺品を買い取ってもらうことで、処分費用を減らすことが可能です。
- 家具
- 家電
- 衣類
- 貴金属
- 骨董品
処分費用を節約できるだけでなく、場合によっては収入を得られます。使用可能なアイテムのリサイクルは資源の有効活用につながり、環境保護にも貢献するので、故人の持ち物がこれからも誰かに使ってもらえるという点で気持ち的にも前向きになれるでしょう。
1-3.遺品整理業者は相見積もりをとって値段交渉をする
遺品整理業者は、それぞれ独自の料金体系を設けており、同じ内容の作業でも業者によって費用が大きく異なる場合があります。そのため、複数の業者から見積もりを取ることで、相場を知ることができ、費用を抑えやすくなります。
複数の業者から見積もりを取る際の主なポイントは、以下の通りです。
- 見積もりの内訳を詳細に確認する
- 同じ条件で見積もりを取る
- 値引き交渉をする
複数の業者に見積もりを依頼することで、業者同士の競争が促されます。業者に対して他社との比較結果を交渉材料として提示できるので、最初に提示された価格よりも低い価格でサービスを受けられる可能性が高まるでしょう。
ただし、値段の安さだけを基準に業者を選ぶと、作業クオリティが低く、思いもよらぬトラブルにつながる可能性があるので注意が必要です。
1-4.遺品整理業者が指定する日を選ぶ
遺品整理業者は当然ながら、日によって予約が多く入っている日と入っていない日があります。予約のない日があれば売上がたたないため、なんとか遺品整理の仕事を入れたいというのが実情でしょう。
そのため、「鍵を渡すので◯月◯日までに自由に遺品整理をしてもらい、代わりに料金を安くしてもらいたい」という希望は業者にとってもメリットがあり交渉としても有効です。指定日に余裕を設けることで、割引を受けられる可能性が高まります。
ただし、必要なものが捨てられる可能性もあるため、遺品整理の作業は丸投げにせず作業条件をしっかり伝えておくことが大切です。
1-5.火災保険を活用する
火災保険適用の可能性がある特定の状況においては、保険がカバーする範囲内で遺品整理にかかる費用を賄うことが可能です。
たとえば、故人が賃貸物件で亡くなり、特殊清掃などの特別な処理が必要になった場合、通常はその費用は相続人や連帯保証人が負担します。しかし、故人が火災保険に加入していた場合、保険金から支払いを受けられるケースがあります。
該当する可能性がある場合は保険会社に連絡を取り、適用条件や必要な手続きについて確認してみましょう。
2.安くて優良な遺品整理業者を見つけるコツ
遺品整理は感情的にも費用的にも大きな負担となり得ますが、適切な業者を見極めることでその負担を軽減することが可能です。ただし、どの業界でも高額な金額を提示する悪徳業者がおり、遺品整理の業界でもそういった悪徳業者が残念ながら存在するので注意しましょう。
以下では、安くて優良な遺品整理業者を見つけるコツを紹介します。
2-1.遺品整理に必要な資格・届出がある
安くて優良な遺品整理業者を見つける際、業者の資格や届出の有無を確認することが重要です。
「遺品整理士」は、遺品整理に関わる知識や法令を習得した専門家です。遺品整理士が在籍していることは業者の専門性を示す指標となります。事件現場特殊清掃士や遺品査定士など、他の関連資格を持つスタッフが在籍していることも、安心につながる材料です。
また、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つことは法律で義務付けられています。
上記のような資格や許可を持っている業者は、専門的な知識を有し、法令に基づいた適切な遺品整理を行えるため、信頼性が高いと言えます。
2-2.訪問見積もりをしてくれる
遺品整理の費用は遺品の量や種類、作業が必要な空間の広さによって大きく異なります。そのため、正しい見積もりをだすには、遺品整理業者が現場を直接見てどれほどの作業が必要かを確認しなければなりません。
訪問見積もりを行う業者は、顧客のニーズや現状を理解しようとする姿勢があるため、信頼できると言えます。また、複数の業者から訪問見積もりを取ることで、サービス内容や価格を比較しやすくなり、より良い選択が可能になります。
一方で、訪問見積もりを拒む業者には注意が必要です。後から追加料金を請求するリスクが高いケースもあります。遠方にいる遺族や見積もりに立ち会えない場合には、写真やオンラインを通じた見積もりを行う業者も選択肢に入れると良いでしょう。
2-3.見積書の内訳が明確になっている
見積書の内訳が明確になっている業者は、透明性の高い経営を行っていると考えられます。また、内訳をしっかり確認することで、費用が適正かどうかを判断できます。
見積書に記載されるべき項目の例は、主に以下の通りです。
- 人件費
- 運搬費
- 処分費
- 清掃費
- オプション料金
- その他
見積もりの内訳が明確だと業者との間での誤解を避けられ、作業内容や料金に関する後のトラブルのリスクを低減できます。一方で見積もりの内訳が不透明な場合、隠れた費用や予期せぬ追加料金が発生する可能性もあるため、見積書に不明点があれば必ず業者に質問しましょう。曖昧な回答をする業者には注意が必要です。
2-4.追加請求に関する記載がある
遺品整理には、以下のような見積もり時に想定していなかった追加作業が発生することがしばしばあります。
- 予想以上に処分が大変な遺品があった場合
- 遺品の搬出に想定以上の手間がかかった場合
- 作業時間が予定を大幅に超過した場合 など
「追加請求に関する記載がある」ということは、業者の透明性が高く、顧客に不利益な追加費用を請求するリスクが低いことを示す1つの目安になります。追加請求に関する記載があれば、作業中に想定外の状況が発生した際の料金体系も事前に明確になっているので、顧客側も安心です。
2-5.スタッフの対応がよく口コミも良い
遺品整理は、故人の思い出を扱うデリケートな作業です。そのため、スタッフの対応が丁寧で、遺族の気持ちに寄り添ってくれる業者は安心できます。見積もり時の対応・質問への回答・説明の丁寧さなど総合的な態度を確認しましょう。
また、実際にサービスを利用した人の口コミは、業者を選ぶ際の参考情報として重要です。良い口コミが多い業者は、信頼できる可能性が高いです。
まとめ
遺品整理の費用を安くする方法として、まずできる限り自分たちで片付けることが大切です。専門業者に依頼すると人件費・作業費などがかかるため、自分たちでできる範囲の作業は自力で行うことで、コストを抑えられます。
また、複数の遺品整理業者から見積もりを取ることで、適正な市場相場が分かり、最安値の業者を選びやすくなります。見積書に追加作業時の料金体系や上限額が明記されているかどうかもチェックし、信頼できる業者を選びましょう。
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