私の生まれ故郷には本屋も無ければ古本屋も無い、鹿児島の片田舎。だからこそ気が付くと古本屋になったような気がします。
あれは昭和55年頃だから10~11歳の頃だったでしょうか。夕方テレビでアニメの再放送を観てたんです。それは「サスケ」というタイトルで、忍者もので、かなりカッコよかったのです。でも放映されていたチャンネルはお隣の熊本放送で映りが悪く、ちゃんと見れなくて消化不良。子供心にもっと観たかったのですが、熊本放送ときたら砂嵐みたいに画像が乱れて何も見れなくなっちゃった。
後日親と10キロほど離れた街の本屋に行くと、あった!テレビで見た絵柄と同じ漫画がそこにありました。小学館文庫の白土三平「サスケ」。親におねだりして1・2巻と購入すると、瞬く間に読み終わってしまい、また次が読みたくなりました。それからは街に行く度に少ない小遣いと親へのおねだりを駆使して、全巻読破!
全巻読破すると、その全巻を繰り返し読み返しました。すると「もっとこの作家の本を読みたい」と思うようになりました。こうして小学校を卒業する頃には、小学館文庫の63冊、「カムイ伝」以外の作品を全て読み終わっておりました。
中学校に入るといよいよ「カムイ伝」です。なぜこの作品が一番最後になったかというと、値段が他のものよりも高くて480円だったんです。他が260~330円なので、この差は子供にとっては大きい。しかし10キロ離れた街の本屋に「カムイ伝」はなく、月に一度親と一緒に行く25キロほど離れた隣の市の本屋にそれはあったんです。
購入は一回に2冊。月に一回なので次まで続きが気になって待てない。次の週、とうとう自転車で隣の市の本屋に買いに行っちゃいました。カムイ伝2冊のために往復50キロ。もう家まで帰るまで待てなくて途中木陰に自転車を停めて、カムイ伝をむさぼるように読みました。
こうして白土三平を読みつつ、つげ義春・水木しげる・ガロ系と触手を伸ばしていき、数年後高校を卒業する頃には本の読み過ぎ、音楽の聴き過ぎで、めでたく大学受験失敗!18歳の春。熊本の兄のアパートに居候することとなり、勉強そっちのけで古本屋と中古レコード屋を回っておりました。今思うと病気ですね~( ´艸`)
ある日いつもと違うコースを辿ると「キララ文庫」という古本屋の看板が。おそるおそる中に入ると、棚にある貸本漫画の「影」と「街」が目に飛び込んで参りました。写真でしか見たことが無いそのタイトルに感動しつつも、高いので別の一冊を手に取りレジに向かいました。すると「キミ、古い漫画が好きなの」とオジサンに声をかけられました。それが店主の橋本先生との出会いでした。先生とひとしきり漫画の話で盛り上がった後で「サイトウ君、明日からうちの店で働かない?勉強も教えてあげるよ」。やった~!今思えばこれが人生が決まった瞬間。そして、その時購入したのが青林堂版「サスケ」でした。
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