アダルト漫画雑誌の整理をしてたら、
ロリポップが創刊準備号から休刊号まで58冊でてきた。
「あっ」。思わず声を出して驚いてしまった。
世間の価値は知らないが、私にとっては非常に価値のあるものだったからだ。
実は高校時代に伊藤まさや「美しい人間」目当てで読んでいて、
環境の変化により途中読めなくなってしまって(浪人したんですな…)、
続きと結末が非常に気になっていた。
数冊あるのはチラリホラリと見えていたので分かっていたが、まさか全号あるとは。
市場でいくつかの山で仕入れたもので、雑誌は各山に散らばっていたので、
本当に全号あると分かった時は驚きだった。
仕事中にもかかわらず、伊藤まさや「美しい人間」全32話を読みふけってしまう。
そう私はダメな…、いやこれぞ古本屋の醍醐味、役得なのであります(笑)。
(ロリポップは笠倉出版社発行が1985年に創刊した雑誌。
80年代初期に起こった美少女漫画ブームを受けて様々な作家が活躍しとりました。
写真は創刊準備号(1985年)より1990年休刊号までの58冊。伊藤まさや「美しい人間」は創刊号より連載。
当初は6話で終わりの予定だったが、人気のため32話までの長期連載となった。)
(創刊準備号からの18冊を見ると、森山塔・千之ナイフ・新田真子などの実力派の名が並ぶ。後半になると新人が登場しますが、伊藤まさや「美しい人間」連載終了後は雑誌の勢いも失速し、一年ほどで休刊となってしまうのだ)
(ストーリーはフランケンシュタインの美少女版で、
老女博士が死体をつなぎ合わせて美しい人造人間を作り上げる。
その人造人間に体の一部を提供した少女が彼女に恋をし、彼女を探して暗黒世界を彷徨うが…。
彼女の名前はビューティ。ゾンビだらけの救いのない世界ではその美がいっそう際立つ。まさしく退廃美。)
(伊藤さんの漫画の凄いところは、毎月10Pちょっとほどの連載なのに
未来的なバベルの塔や地下壕などの背景だけのページが延々と続いたりするのだ。
このスケールの大きさが物語に奥行きを与えていると思うのですが、
当時ストーリー進行が遅すぎて、まだ続きが読めないの~とヤキモキしたのを憶えております。
今見ると、その絵の緻密さに改めて驚かされます)
(エロとグロが交錯するも美しきシーン。ここからクライマックスに向けて物語は急展開を迎えます。
連載終了から26年経ちますが、いまだ単行本化になっていないこの作品、
2006年頃単行本化の話もあったそうですが、いまだ日の目を見ず。
こうやって当時の雑誌で読めて本当に良かったと思います。)
読み終えて、気持ちはスッキリ。積年のモヤモヤが晴れた感じ。
あとですね、当時「夜想」「月光」などの雑誌を読みふけり、
想像の世界に没入してた10代の自分を懐かしく思い出したりもしました。
いや~、これまた古本屋の醍醐味。
コメント
初めまして、当時学生だった者です。
あのとき(古本屋で)愛読していた自分には
すごい懐かしい記事です。
しかもこれが今年書かれた記事だとは…(笑)
スイマセン、返事遅くなってしまいました。
世の中には驚くべき人がいて、ちゃんと残しているんですよね。
私も驚きました。
単行本が出ていないだけに、
思い出の中に色濃く残っている作品です。
初めまして。作品を知ってから15年程雑誌を集めて美しい人間を断編的に読んでましたが、この二人は最後どうなったのですか?ビューティが自殺した後、手榴弾が爆発して心中して終わりなのですか?
二人は「美」と「醜」を象徴する存在でした。
そして「美」の象徴のビューティーが儚く崩れ(彼女が内包していたのが「醜」の存在であった事も、崩れ去る時の内臓の露出などで表現されていたわけですが)生き残った娘が手榴弾による自爆をするわけですが。
その後、「美」と「醜」が一つのものになって、物語は終わります(二人は一つとなって生きた=美醜は一つのものである事を意味する終わり)。