先日メールにてお問い合わせがございました。「父の実家である丹波篠山市の家の遺品処理のため、書籍の出張買取をしていただける業者さんを探しています」。そこには写真が一枚添付されており、とても古い書籍があることが、一瞥で分かりました。おそらく何かしら良いものがあるのではと思い、快諾させていただきました。
行ってみると、立派な佇まいの旧家で家のあちらこちらに本が置いてあり、写真のものは離れの倉庫部分にあったのでした。

この倉庫を見るのに、確実に1時間半以上かかったでしょうか。それまでのものは戦後のものだったのですぐに判別がつくのですが、戦前のものは一冊一冊丁寧に見ないと分からないものが多いので、本当に時間がかかりました。特に戦前の写真は珍しいものがあり、これが今回の買取のメインとなりました。
そんなこんなで、買い取らせていただきましたものたちは、段ボールで10箱チョイ。戦前古写真帖(アルバム)/戦前古書/和本などでありました。

今回その中から一部ご紹介させていただきます。
戦前古写真/アルバム
まずは食指の動いた写真たちです。

中でも面白いと思ったのが、「満州旅行記」。当時学生だった持ち主が修学旅行で満洲を訪れた際に、記念に旅行記として一冊の本(アルバム)としてまとめてあるんです。

中を開けると、記念写真や訪れた観光地・景勝地などが絵葉書や写真で貼り付けられており、

スタンプや包み紙やラベルなどが貼り付けられており、この一冊で満洲の魅力を知ることができる、見ていてワクワクする一冊なのです。なかなか見ることのない、傑作だと思いました。

もうひとつのアルバムは日露戦争の時代のものでした。

記述を見ると「明治38年」とあります。このころのこれだけ写真を撮られているのは珍しいと思います。下記のものは「満洲軍総司令部に於ケル野戦郵便局長会議記念(奉天)」。

当時の満洲の人々の生活が伺い知れる「満洲族人家族ノ正装」。他にもいろいろ綴られておりました。

そしてこちらは卒業アルバム。

皇紀2598年=西暦1938年(昭和13年)。当時占領下であった朝鮮の京城府(けいじょうふ)の女学校の卒業アルバムになります。京城第一公立高等女学校は、1908年に在大韓帝国の日本人居留民によって設立された学校。開校式には伊藤博文も出席し、格式ある女学校として発展。最盛期には生徒数が1000人を超える 名門校でした。

写真を見ると、育ちの良さそうなお嬢様のお顔が並びます。

戦前古書
戦前古書は状態や内容を考えて、買い取らせていただきました。「刀と剣道」「日本竹枝詞集」「逓信省五十年略史」「京都名勝誌」「釣人必携・釣百科」など。

和本
和本もまとまってありました。ただこちらは明治時代に発行されたものが多く、その多くが勉学のために購入されたもののようでした。「古今和歌集正義」「東洋之佳人」「春秋左氏伝校本」「名詩評釈」「宗門無盡燈論」など。こちらの家の方に高学歴な方がいらしゃったようです。

この度はいろいろ良いものをお売りいただき、ありがとうございました。これらの書籍や紙モノは丁寧に販売させていただきたく思います。
買取を終えて
せっかくなので、地元の老舗のお菓子屋さんに寄らせていただきました。創業明治42年の「梅角堂」。趣がありますね~。

黒豆タルトを購入。香ばしくって甘くって、とても美味。その日の夜のお茶に大変合いました。


ふらり堂では遺品整理・旧家の整理などに伴う、戦前のものや古いものの買取を行っております。戦前古写真帖/戦前古書/和本など、整理される際には是非、当店までお問い合わせ下さいませ。
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